相思

9/26
前へ
/630ページ
次へ
「興味があるって訳じゃ……」  雀荘の二階の窓から下を歩く姿を何度か見かけた事はあったが、この女性と面と向かって話しをするのは初めてだった。綺麗な女性(ひと)だと思ってはいたが、声を聴いてなおさら歳上の女性というものを意識してしまう。 「ふ~ん」  亜香里の冷めた一言と、冷たい視線を肩越しに感じて、浩也は慌てて振り向いた。 「浩ちゃん、こっちに来て」 「彼女さんを待たせちゃ、ダメよ」と店主の女性に背中を押され、浩也は仕方なく亜香里のもとに歩み寄った。  肘鉄をわき腹に一つ貰ったうえに、浩也はピアスの並んだ棚に連れて行かされた。
/630ページ

最初のコメントを投稿しよう!

478人が本棚に入れています
本棚に追加