現着

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 商店街の裏通りという場所が場所だけに、狭い路地には野次馬が事を見たさに、相当な数を成している。二人は警察手帳を掲げながら人混みを掻きわける様にして、規制線のテープを潜り抜けた。  機動捜査隊と機動鑑識の面々が、事件現場への立ち入りを許可するまで、この場所で待機するしかなさそうだった。複数の捜査員が入り込む事で、犯罪の痕跡を破壊してしまうのを防ぐ為だ。だからといって、野次馬達に向かって『事件を目撃した方は、いませんか』などと声を発した所で、良い返事が返って来るとは思えない。 「地取り、掛けますか?」 「まぁ、待て。少し落ち着いてからだな」
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