相思

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「誕生日プレゼント、買ってくれる約束よね」  亜香里は当たり前の様に、品定めを始めた。誕生日までにはまだ間があったが、彼女が言い出したなら従うしかないだろうと、浩也は財布の口を開く覚悟をするしかなかった。 ーーワガママな所が、玉に瑕(きず)なんだよなぁ。 「どっちがいいと思う?」  亜香里は赤い石の付いた物と緑色の石の付いた物の、二種類のピアスを並べて見せた。ルビーかエメラルドか、と云いたい所だが、値札の金額からしてそれはないと思える安物だった。 「迷うくらいなら、両方とも買ってやるよ」  福沢諭吉の一枚は覚悟していたが、両方買ったとしてもその半分にも満たない金額に、浩也はほっとしていた。
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