478人が本棚に入れています
本棚に追加
「誕生日プレゼント、買ってくれる約束よね」
亜香里は当たり前の様に、品定めを始めた。誕生日までにはまだ間があったが、彼女が言い出したなら従うしかないだろうと、浩也は財布の口を開く覚悟をするしかなかった。
ーーワガママな所が、玉に瑕(きず)なんだよなぁ。
「どっちがいいと思う?」
亜香里は赤い石の付いた物と緑色の石の付いた物の、二種類のピアスを並べて見せた。ルビーかエメラルドか、と云いたい所だが、値札の金額からしてそれはないと思える安物だった。
「迷うくらいなら、両方とも買ってやるよ」
福沢諭吉の一枚は覚悟していたが、両方買ったとしてもその半分にも満たない金額に、浩也はほっとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!