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亜香里にどう云って謝ろうと考えながら雀荘の扉に手をかけると「遅かったじゃない」と、背後から声がした。
制服から私服に着替えた亜香里が、そこにいた。機嫌が直ったかは解らないが、謝るなら早い方が良い。
「亜香里、さっきはゴメン」
「なんで謝るのよ」
「なんで、って……」
ーー謝ってるのに、なんだよ。
亜香里はつかつかと近づくと、浩也の顔を覗き込み眉間にシワを寄せ「なるほどね」と云った。
「なっ、なんだよ」
「別に」と云いながら、亜香里はさっさと扉を抜け電気を点けると、カウンターの止まり木に腰を降ろしている。
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