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「ゆかり婆さんの晩ごはん、用意しないのかよ」
「今夜は会長さん達と、いつもの会議。だから、作るのやめたの」
麻雀愛好会の会議ではない。ギャンブル好きの人間が集まって、週に二、三度この商店街の居酒屋で、飲み会を開いているのだ。
立花 ゆかりが『嘘のサンパチ』を会長の横田に伝授したのが、先週末の飲み会での事だ。彼らは競馬や麻雀に飽きたらず、自分好みのギャンブルで盛り上がる。
「それじゃ、めし食いに行くか?」
ゆかりが飲み会に行く夜は、浩也が亜香里の食事の相手になる事が多い。母子家庭で育った亜香里は、独りは馴れていた筈だ。それでもやはり一人の食事は寂しいのだろう、こうして浩也を訪ねて来るのだから。
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