相思

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「だって浩ちゃん、あの女性(ひと)を観る目、なんか違ってたもん」 「違ってたって、なんだよ」 「あたしを観る時と、違うじゃない」  亜香里の瞳が潤み始めている。正直どう対応して良いのか解らなくて、浩也は手にしていたピアスの入った紙袋を、無言で差し出した。 「何よ、これ」  亜香里は唇を尖らせながらも、袋の中身を取り出した。手のひらに落ちた紫色のピアスを観て、亜香里の表情は一変した。 「真剣に選んだんだからな」 「……うん」  亜香里はそれだけ云うと、その小さな小物を見つめていた。
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