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もしも、村田の様な独り暮らしの老人を手にかける者がいたなら、許せる筈もない。浩也が刑事に話した事が、事件の解決に結び着くとは限らないが、なんらかの役に立てたなら、と浩也は思う。
「ねぇ、もう一回写して。ピアスがちゃんと、写ってないんだもん」
少女から大人の女性へと変わり行く、十六の今。カメラを本当に向けたいのは、自分じゃない様な気がする。
「なぁ、亜香里。もしも……、もしもお父さんが生きてたなら、会ってみたいか?」
亜香里は一瞬だけ困惑した表情を浮かべたが「そんな事、解らない。死んだ人の事なんか、解らないよ。あたしは生きている人の事しか、観てないから」と云うと、浩也に抱きついた。
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