相思

26/26
477人が本棚に入れています
本棚に追加
/630ページ
「亜香里、おまえ……」 「あたしは浩ちゃんが好き! 好きなの! 死んだ人なんか、どうでもいいよ!」  大きな瞳から、大粒の涙をこぼしている亜香里を、浩也は強く抱きしめていた。  それは、自然に。  それは、当然の様に。 「俺も、亜香里が好きだよ」 「浩ちゃん、あたしだけを観て。ほかの女(ひと)なんか、観ないでよ」  恋愛映画やテレビドラマで使い古された台詞だったとしても、実際にそれを耳にしたなら「お前しか観ないよ。約束する」と誰もが答えるだろう。  浩也もまた、そう答えていた。
/630ページ

最初のコメントを投稿しよう!