告白

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「松井さんは、自炊生活ですか?」 「そうよ新堂くん。実家は離れているし、長男が結婚して跡を取っているからね。小姑面して家に居残ってたら、お互い気まずくなるでしょう」 「それなら結婚したら、いいんじゃないですか」 ーー馬鹿野郎、それは禁句だ! 「なるほど、それはいい考えね」と云う松井 道子は高らかに笑って見せたが、目元だけは笑っていなかった。 『お局様』と呼ばれる道子相手に、新堂 俊介の無鉄砲ぶりを観て、逢坂は『無知とは恐ろしいものだ』と思わずにはいられなかった。  先頭を歩く新堂が脇道にそれた所で、二軒続きの長屋を指差し「松井さんにはあの家に住む女の子と、話しをしてもらいたいんです」と云った。
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