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「取りあえず、中へ」と好子に促され、狭い玄関に列を作るようにして、三人は靴を脱いだ。小さな靴箱の上には、バラを模したカービングソープが置かれていた。
初めてこの家を訪れた際も、同じ香りがしていた。新堂にカービングソープの事を聴かされて、この造花がそれかと改めて思い知らされた。
狭いダイニングキッチンだ。ダイニングと呼ばず台所と表した方が、正解だろう。キッチンテーブルに木ノ内親子が並んで座り、向かい側に道子が腰を降ろす。逢坂と新堂は立っていた。
「玄関に飾られているカービングソープを作ったのは、優衣さんですよね」
口火を切ったのは、新堂だった。
「そうですけど、それがなにか」と答えた好子は、いまだに不安な表情を崩していなかった。
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