真相

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 くわえ煙草でハンドルを握り、マニュアル車を走らせる。ライトの照らすその先にいつものコンビニを見つけ、逢坂 義之はウィンカーをあげた。  車を止め煙草を灰皿にねじり込み、助手席に座る松井 道子に「この店でいいか」と云うと「えぇ、大丈夫よ」と彼女は、扉を開けた。  小久保 奈美枝の家を出て商店街を抜け、地下鉄の入り口まで来た時に、突然新堂 俊介が「すいません、僕これから人と会う約束が出来ました」と、勝手な事を言い出した。 「ふざけるな!」と上気している逢坂を尻目に「松井さん、坂さんを頼みます。京子ちゃんに僕の分のご飯残しといて、って云っといて下さい」と、踵を返して新堂は行ってしまった。  道子は人目も気にせず笑いだし「いつもこうなの?」と、逢坂を涙目で観ていた。
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