真相

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 ビニール袋を両手に提げて、道子が戻って来る。袋の口から飛び出したワインの瓶を観て、道子はかなりいける口なんだと想像が着いた。 「随分、買い込んだな」  片方の袋は、ビールのロング缶で膨れ上がっていた。 「そうかしら」とさらりと云って退ける辺りが、流石『お局様』の二つ名を持つ女デカだと納得させられる。  事前に連絡を入れていたせいか、家の前に車を停車させると、京子が飛び出すように玄関から迎えに出て来た。 「こんばんわ、初めまして」と云う京子に「お邪魔しに来ちゃいました」と道子が、笑顔を向けている。 「お父さん、機嫌悪いでしょう」 「そうなのよ」
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