奉仕

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「えぇ、もう大丈夫です」  奈美枝は用意されたスリッパに足を通し、ベッドから降りた。リノリウムの床が少し歪んでいる様に感じるのは、未だ身体が本調子ではないからだろう。ベッドの脇に立つ看護師に一礼をして、奈美枝は出入り口の扉を押し開いた。 「奈美枝さん、大丈夫?」  処置室前の廊下に置かれた長椅子から立ち上がり、そう声を掛けて来たのは、隣に住む木ノ内 好子だった。彼女は奈美枝が救急車で運ばれる際に、付き添ってくれていた。 「ごめんなさい、迷惑かけちゃって」
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