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「そんな事、ないわよ」と話す好子は、中学一年生の娘を一人持つ、三十半ばのシングルマザーだった。
「好子さん、お仕事は」
「今日は代わって貰ったわ」
好子は午前中から昼にかけて弁当屋で働き、夕方からはスーパーでレジを打っている。弁当屋からの仕事帰り、奈美枝が救急車で運ばれる所に居合わせ、そのまま乗り込んだ、という訳だった。
「あたしの為に、態々……」
「なに、言ってるのよ、それはこちらの台詞よ。いつも娘が、お世話になっているんだから」
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