奉仕

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 好子に小銭を借り、奈美枝は病院の公衆電話から民生委員協議会に連絡を取った。事の顛末を説明して後日伺う旨を伝え、今日は自宅に戻る事を告げた。病院の支払いは民生委員の仕事柄、事務長と顔見知りという事も有り、それもまた後日という事で話しを着けた。  病院の自動扉を抜け出ると、爽やかな風が頬を撫でた。その清々しい空気に包まれると、自身に降り掛かった出来事が、まるで夢でも見ていたかの様な錯覚に陥ってしまう。だが、自分が目の当たりにした光景は、紛れも無い事実なのだ。その事実を、奈美枝はこれから背負わねば為らない。村田の死を、奈美枝は嘆いた。
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