視点

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 二人は雑居ビルの階段を登り、廊下の突き当たりの扉の前に立った。樫ノ木の扉は厚く、これなら麻雀の牌をかき混ぜる音も余り外へは逃げないだろう。こういった店にしては奢った物だな、と逢坂は思いながら、その扉を押し開いた。 「今日は店仕舞いだよ」と、老女の声が行きなり飛んで来た。それを合図にでもしたかの様に、店内に居た数十人の老人達が一斉に逢坂達に視線を送り付けて来た。  逢坂と新堂は警察手帳を掲げ「責任者の方は、どちらに」と、辺りを見回した。  次の瞬間、逢坂は条件反射的に背筋を伸ばしていた。
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