記憶

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「本当に、幸之助さんだったのかい」  ゆかりは、赤子の様に泣きじゃくる亜香里の髪を撫で付けながら、それでいて、視線は厳しく浩也に向けられている。『本当に』とゆかりに尋ねられても、浩也には首を立てに振る事しか出来ない。眼にした物は間違い様も無く、村田の歪んだ顔だった。  それまで半信半疑だったのか、浩也の答える姿を観るなり、そこに居る誰もが落胆の表情を色濃くした。啜り泣く者も出始めている。
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