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(よし…来い…そのまま真っ直ぐ…)
まるで野党の如くギラギラした目つきでスライムを睨み付け、罠を使う機会を図るエル…
当の狙われてるとは知らないスライムはプルプル震えながらエルの用意した餌…餌?まあ餌らしき謎の紫色をした異臭を放つ袋に近付いていく。どうやらスライムが好む物が入っている特性の餌の様だ、伊達に狩りで生計を立てている訳じゃないのが分かる。
そして餌に引き寄せられたスライムが罠…虎鋏の上に乗った瞬間、
「穫ったぁ!」
エルが気合いの声と共に手に持っていた縄を強く引き上げる。すると縄の先端と繋がっていた虎鋏が勢い良く閉まり、スライムの体にギザギザした鋭い刃を突き立て捕獲する。
「ピギイイィッ!」
どこから鳴き声をあげているのかは不明だが…悲鳴をあげるスライム。体にガッチリと虎鋏が食い込み、その軟体を拘束する。
ちゃんと捕獲したのを確認したエルは樹の上から飛び降りスタッと着地…なんてしたら足を挫くのでよじよじと樹の幹にしがみつきながら地上へとゆっくり降りた。なんとまぁ格好悪い事である。
「へへへ…恨みは無いが俺の生活の為だ、死んで貰うぞ。」
そう言いながら懐からナイフを取り出す。言っている事もやっている事も悪人にしか思えないが…これでもこの物語の主役だ。
ナイフを利き手である右手に持ちながらゆっくりと身動きの取れないスライムに歩み寄るエル…が、ここで予想外の出来事が起きた。
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