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ぶちりーーいや、ぐちゃりか、その様な音がしたと思ったら眼前のスライムが唐突に飛びかかって来た。
(なっー!?)
回避しようと足を動かすが思わず尻餅をつくエル。が、不幸中の幸いかそれが幸を成して先程まで頭があった位置をスライムが凄まじい速度で通り過ぎた。
何が起きたのか、そう思い罠に目をやるとーースライムの肉片、と言うべきか、体の一部を残して罠が外れていた。
(しまった!)
緊急事態だ、今までこの様な事は無かった。いつも通りスライムを罠にかけて仕留め、それを持ち帰って売るだけかと思っていたが…とんだイレギュラーだ。
恐らく怒り狂ったスライムから逃げるのは不可能だろう。だとすれば残された道は二つーー
死ぬか、殺すか
「くそっ…決まってるだろ!」
右手に持つナイフを握り締め、先程頭上を飛んでいったスライムを目だけで探す。左…いや、右に居た!見つけた良いが次の瞬間には
「ビギイィィ!」
「がはっ…う、あ、ぁ…」
強烈な体当たりを腹部にかまされた。激痛が身体を走り、思わず息が止まる。幸い骨は折れていないみたいだが…
(この…軟体のどこにそんな力があるんだよ!?)
思った以上にダメージが大きい。スライムは再び体当たりをかまそうと距離を取り始めた…マズい、後一撃食らったら確実に意識を持っていかれそして…
(食われるってか!?)
冗談じゃない、そう呟きナイフを構える。これが魔物との戦いか…そうエルは感じていた。
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