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あの恐ろしい速度で飛びかかるスライムにはまともに攻撃は当てられないだろう。だがこのままでは地獄行きだ。
(考えろ…必ず倒す方法はあるはずだ…)
仮に当てたとしても、相手は魔物。かなりの生命力を持っている。何度も攻撃するか、強烈な一撃をお見舞いせねば倒せないだろう。だが所詮ただの村人、会心の一撃など期待も出来ない。
「…そうだ…!」
何か策を思い付いたのか、ナイフを固く握り締め腹の前で構える。それと同時にスライムがーー来る。
「ぐあっ…!」
思わせぶりな発言をしときながらバカ正直にエルは攻撃を食らい吹き飛ばされた。背後の大木に背中を打ち、ダウンする。直後スライムが追撃してくると思ったが、それは無かった。そして、今後一生無いであろう。何故なら…
スライムは、絶命していたからだ。身体にナイフを深く刺さらせて。
「はは…人間を舐めるんじゃねーぞ…」
あの時、スライムが飛びかかって来た時、エルはスライムの体当たりが当たる部分にナイフを構え、カウンターの如くナイフを突き出したのだった。
エルが自ら攻撃しようとしなくとも、あの凄まじいスピードで突っ込んで来るなら勝手に突き刺さり死んでくれると踏んだのだろう、それが幸を成してエルは戦いに、殺し合いに勝ったのだった。
「いってぇ…さっさと村に帰んなきゃ他の魔物が来ちまう…」
痛む身体を引きずり、ちゃっかり魔物の死体を回収してエルは家路についたのだった。
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