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「はーい、次の方。」
今日も診察をする。
ずっとずっと、ほとんどが診察。
変化は毎日のようにある。
急病の患者さんとか、毎日が変わる。
それでもつまらなかった。
「ありがとうございました。」
「いえ。」
「すみません、ちょっと休憩してきますね。」
「はい。」
看護士さんに一言つげ、診察室を後にする。
「春口先生って若いよね。」
歩いている途中でそんな言葉が聞こえた。
確かに若い。
「顔もきれいだしね。」
「でも、いっつもあの笑顔じゃん?なんかちょっと苦手かも。」
そう、笑顔なのだ、いつでも。
自分の感情を隠すために。
子供のころからそう教えられてきた。
常に相手にいい印象を与えておくこと。
医者になることは決められていた。
小学生のころから英才教育を受けていた。
人と遊んだことなど、一度もない。
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