二章 死地へ赴く

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この日、妙覚寺には織田信長の嫡男・織田信忠と、その手勢二〇〇名余りが宿泊していた。今夜も静かな夜である。 その真夜中の妙覚寺に老人が駆け込んできたかと思えば、何と老人は織田家の重臣・村井貞勝で、しかも明智光秀が本能寺を囲んでいると言うのだから、二重の驚きである。 知らせを受けた信忠のとる行動はただ一つ。 「父上を助けに参るッ」 信忠は、いつになく険しい表情で馬に跨った。
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