三章 父の背中

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「信長を捜せッ。信長さえ討ち取れば、この戦、我らの勝ちぞッ」 明智左馬助秀満は兵を鼓舞した。 「おおッ」 兵もそれに応える。 「(しかし…信長を討ち取らねば、いくら他の者を討ったとて勝利には成りえぬ)」 戦況は押しに押しまくっているが肝心の信長が見つからない。 秀満は空を見上げた。 そこには月も星もなく、ただ闇だけが広がっている。 「(まだ夜は明けぬのか…)」 時刻は午前四時を回っていたが、東の空に朝が来る気配はない。 「(一刻も早く信長を見つけねば…)」 秀満は闇の向こうにいるであろう信長を睨みつけた。
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