一章 開演

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「どれ…謀反人の顔を拝んでやろう」 男は蘭丸を連れて部屋から廊下に出た。いくつかの角を曲がり、丁度、寺の正面にあたる位置で足を止め、黒衣に包まれた群衆の中で馬に跨っている一人の男を凝視した。 辺りはまだ暗く、二人の距離はあったが、それでも互いはそれぞれを確認し合った。 馬上の人物の名は明智光秀。 そして、もう一人の名は織田信長。 信長の瞳は、氷で作られた鋭利な刃のようだった。
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