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「口之津先生にプレゼントは何あげるの~?」
「誕生日じゃないから考えてないわよ」
「そういえば口之津先生って誕生日いつ?」
「そういえば知らないわね」
ひどい。
「ま、テキトーにパウンドケーキでも焼いとけば満足するんじゃないの?
アイツ、そういうことされればすぐ喜ぶでしょ」
有馬はカカカカカ!と大きな声で笑った。
口之津も不憫でならない。
(でも・・・なるほどね、手作りかあ)
そういえば、以前朝食を作ったときにすごく喜んでくれた。
(でもっ・・・手作りって重くないかなぁ~~。
それに私普段そういうの作らないから絶対おいしいものできないよ!)
***
悩みに悩んで結局何もいい考えが浮かばないまま日曜日。
瑞穂はいつものように有明の家に向かった。
(あさっては先生の誕生日かあ・・・)
何か買うなら今日しかない。
先生は断るだろうが、いっそのこと今日無理にでも聞き出してしまおうか――・・・。
ピンポーン
インターホンを鳴らせば、いつものように笑顔で有明が迎えてくれた。
「先生、今日はどこかに行く予定はないんですか?」
「ん?ないよ。どうして?」
「いや・・・・・・」
はっきりしない瑞穂に有明は首をかしげる。
「もしかして何か買いに行きたいものでもある?」
「えっ・・・うーん・・・
はい!ちょっと欲しいものがっ・・・!!」
間違いではない。
有明の誕生日プレゼントを買いに行きたい。
「そう。いいよ。じゃあ準備するから少し待っててね」
仕方がないこととはいえ、結局有明に車を出してもらって買いに行くのはプレゼントになるのだろうか・・・と考えたが今更。
「何が欲しいの?」
という有明の質問を必死にごまかしながらいつもの百貨店へと着いた。
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