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店に着けば時間は丁度お昼時。
「瑞穂さんお腹すかない?
どうせだからここのどこかで食べる?」
「そうですね」
しかし日曜のお昼時なだけあって、どこも人でいっぱいだ。
適当な店に順番待ちの名前を書くと、近くの椅子に二人で腰掛けた。
「俺朝から何も食べてなかったんだよね。お腹すいた」
「・・・・・・」
そんな有明の様子を見て、瑞穂は少し考えた後にバッグの中に手を入れた。
「あっあのっ、コレ!よかったら」
真っ赤になって差し出す瑞穂の手には小さなラッピングされた何かがあった。
「?」
有明は差し出されるままにそれを受け取り、目を見開く。
クッキーだ。
「えっ、どうしたの?
これ瑞穂さんが作ったの?」
「えっ、あわわわわ・・・!!」
なぜか瑞穂は周りの目を気にしてキョロキョロとあたりを見回す。
「いやあの試しに作ってみただけですから、その、そういうの滅多に作らないからたまにはいいかなってだからあんまりおいしくないと思うんですけど、いやマズくなくてもも何の変哲もないただのクッキーですけど」
「食べていいの?」
必死に言い訳を並べる瑞穂を見て、有明はすごく嬉しそうに笑った。
「・・・・・・ハイ」
ケーキを手作りするなら、とせめてもの腕鳴らしに作ったクッキーだ。
その後にもいろいろ作ってみたが、パウンドケーキならともかくスポンジケーキはうまくいかなかった。
だから、結局手作りは無しということになったのだが・・・。
(スポンジケーキが冷めるとあんなに縮むなんて思わなかったよ・・・)
隣では有明が嬉しそうにクッキーをひとつ、口に運んだ。
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