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「おまたせ」
有馬と深江の座る背後から聞き覚えのある声がする。
二人が振り向く前に瑞穂が声を出した。
「いいえ、今来たところです――――
有明先生」
その名前に、二人は光の速さで振り向いた。
「「ええっ?!」」
なんで有明先生がここに、と二人は口を揃える。
説明をする前に有明は持っていたものを差し出した。
「卒業おめでとうございます」
ひとりひとりに手渡したのは、一輪ずつの祝いの花。
ためらいながらも有馬と深江はそれを受け取る。
有明は二人に渡した後に瑞穂と布津にも同じものを手渡した。
「えっ・・・もしかして、晴子ウチらを喜ばせるために有明先生を呼んだの?」
有馬がハッと気づいて言う。
「いやあ・・・ええっと・・・」
瑞穂が苦笑しながら説明しようとすると、有明がいつもの笑顔で言った。
「今まで秘密にしていてごめんなさい。
でも卒業だから、二人には教えておいた方がいいと思って――
僕達、付き合っているんです」
「 」
大きな音を立てて、有馬は思いっきり後ろにぶっ倒れた。
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