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十分程たっただろうか。
有明と瑞穂のことよりもまずぶっ倒れた有馬に驚いた深江。
皆で有馬を起こし正気に戻るまで待つ。
ようやく落ち着いた頃、いつの間にか有明が頼んでいたコーヒーが届き、有明は椅子に座ってそれに口をつけた。
未だ顔面蒼白の有馬の隣で深江がそれを惚れ惚れと見つめる。
「大丈夫?有馬さん」
「 」
・・・あまり大丈夫ではなさそうだ。
「びっくりしたけど有馬さんがそんな反応するから驚きそびれちゃった」
深江が呆れて言う。
隣で極端反応をされるとなぜか冷静になってしまうものだ。
「でもあんな騒ぎがあったのに、結局付き合ってたんだぁ。なんかウケるぅ~!
いつから付き合ってたの?」
「えっとー・・・」
「2年生の、体育祭の後くらいでしょうか」
「きゃはははっ!騒ぎの真っ只中で普通に付き合ってたんじゃーん!」
意外に普通の反応をする深江に瑞穂はひとまずほっとした。
「布津君、やっぱり知ってたんだぁ~。
でも確かに有明先生には敵わないよね」
「うっ・・・うるせーなあ」
アハハハハ、と和やかな空気が流れる。
その時、停止していた有馬が突然無言で立ち上がった。
「・・・・・・?」
「有馬さん・・・?」
「は・・・・・・、
はぁ~~るぅ~~こぉ~~!!!」
「!!! ギャーーー!!」
少しだけ復活した有馬が突然瑞穂に襲い掛かった。
・・・ごくごく当たり前の光景だ。
いつも通り。
そんな反応をもらえて内心少しだけ嬉しい。
(でも痛いのはイヤーーー!!)
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