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そこにいたのはいかにもガラの悪そうな上級生数人。
(2年かな・・・)
もしかしてすでにオレンジ頭の俺のことを知ってここまで来たとか?!
そんな考えを張り巡らせ少し不安になったが、どうやら違うようだ。
よく見るとガラの悪そうな上級生5人ほどの中に一人、大人しそうな顔が目に入った。
(あ・・・あれは・・・!)
加津佐はその顔に見覚えがある――。
茶色のゆるいパーマのかかった髪にすましたような伏せ目。
女子達が彼を見ては騒いでいた。
――同じクラスの・・・名前は確か、『有明』といった。
(えええ?!あんな真面目なヤツが何で・・・?!)
彼とは話したことはないが同じクラスの人間がこんな危険な状況になっていてはさすがに心配だ。
しかし彼は上級生らに囲まれながらもなお、すました顔をしている。
――強がっているのだろうか・・・。
「オラ、逃げんじゃねーぞテメェ!」
「・・・この状況で逃げられるわけないじゃないですか」
「あぁ?!生意気な口叩いてんじゃねーぞ!!」
「・・・・・・」
彼はふぅ、とひとつため息をつく。
その動作は加津佐が見ても煽っているとしか思えない。
(・・・もしかして柔道とかやっててメチャクチャ強いとか?)
そんな考えがよぎったが、学ランを着ているとは言え彼はどう見ても他の男子より細めだ。
クラスでも大体、本を読んでいるか寝ているか女子に囲まれているか。
同い年の他の男子より比較的大人しい。
「強がってんじゃねーぞ!!」
上級生の一人が乱暴に有明の胸倉を掴むと思いっきり柵に投げつけた。
(うわっ!危ねえ!)
やはり彼は特に強いというわけでもないらしく、頼りなく背中から柵にぶち当たる。
加津佐が捕まっただけでも不安定だったその柵は、乱暴な衝撃にさらにグラリと大きく揺れた。
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