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「てめえ!!」
当然・・・というべきか、ボスは有明の胸倉を掴んで引き寄せる。
「フザけんな!!ユミコからちゃんと聞いたんだからな!お前から弄ばれたって!」
「確かに入学して数日で知らない人に告白はされて断りましたけど、手を出した覚えはないですよ」
「?!」
予想外の反応だったのか、ボスの顔がゆがむ。
「ふ、ふざけんなテメェ!
嘘ついたってすぐわかるんだよ!」
少し離れた場所でボスの取り巻きがまくし立てる。
「そりゃあ、彼女と他人の俺じゃあどっちを信用するかなんてわかりきってることですけど」
有明は変わらずにボスの目だけを見て言った。
「そうだよ!ユミコはなあ、嘘なんてつく女じゃ・・・」
「確かに嘘はつけなそうですよね」
「なんだと?!」
胸倉を掴む手に力が入る。
周りからは「やっちまえ」という声が上がった。
「だってそうでしょ?
振られた腹いせに仕返しをしたくて、自分が浮気したことを自ら彼氏に告白しちゃうんだから」
「・・・・・・!」
ボスの顔色が変わる。
周りも言葉を失った。
その隙を見逃さず、有明は胸倉を掴む手を振りほどいた。
怒りのぶつける場を迷うその手は簡単に振りほどかれ、ボスの顔は青ざめる。
さすがにこれには加津佐も少しだけボスに同情した。
しかしせっかくできた隙なのに、有明は逃げるそぶりも見せずに悠長に制服を正す。
(オイオイ、何やってんだ!)
ヒヤヒヤしながら見守る加津佐の予感は的中し、一度は地面を見つめていたボスは、再度顔を赤くして拳を震わせ有明を睨みつけた。
「てめぇえええ!!
やっぱり気にいらねぇぇぇええ!」
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