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声を上げたボスをきっかけに、勢いづいた取り巻きが一緒になって声を上げる。
「そうだそうだ!!
ちょっと女にチヤホヤされてるからって調子に乗ってんじゃねーぞ!」
「気に入らねーんだよ!そのツラと態度!」
(うわぁああダッセぇええ!
負け犬の遠吠えみてーじゃねえか!もっと自信持てよー!)
しかしその声にボスもまた声を上げた。
「そうだよ、気に入らねーんだよ!
テメーがいなけりゃユミコが目移りすることもなかったんだ!!
いっぺんテメーの顔ボコボコにして形変えてやるよ!!」
周りからは「やれ!やれ!」と声が上がる。
ボスはボキリボキリと見せ付けるように指をならし、数歩有明に近づいた。
(・・・・・・っ! やべえ!)
さすがにここまでだ――
助けに行こうと加津佐も身を乗り出したその一瞬――・・・
有明は、胸倉を掴もうと勢いよく手を伸ばしてきたボスをさらりとかわす。そしてその勢いのまま前のめりになったボスの足を蹴り、バランスが崩れた背中を軽くトンと押した。
「!!」
ボスの体は簡単に崩れ落ちて膝をつき、やけに幅の広い柵の間から体が飛び出す。
ダンッ!!
誰もがヒヤリとしたが、有明はまるで流れ作業のようにボスの背中を勢いよく踏みつけた。
「うわあぁあ!」
一度柵を掴もうとした手はその衝撃により掴みそこね、そのまま外に放り出される。
情けない声を上げたボスの体は、体半分程を柵の外にはみ出し校舎の壁にへばりついた。
身を乗り出しただけでも怖かったあの景色――バランスを崩せばそのまま落ちてしまうかもしれないあの格好から見るのはさぞ怖いだろう。
「・・・っ、テメ・・・・・・!!」
顔色ひとつ変えずにそんなことをする有明に、ボスだけでなく取り巻きまでもが顔を青くして動けずにいた。
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