誕生日

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 小浜の件の騒ぎも忘れさられた10月の終わり。 瑞穂はまた頭を悩ませていた。 「布津、あんたに指令を言い渡す」 「なんだ突然」 瑞穂の宿題を必死で写す布津は顔も上げずに答えた。 「今それ見せてやってるんだから私のために一肌脱いでくれてもいいと思うんだ」 「やだよ、最近寒いんだから」 「ほんとに服脱げって言ってないっつーの」 宿題を写し終えた布津は「ヨッシャー」と言って大きく背伸びをする。 「で?何を?」 「有明先生の欲しいものを調べてくれない?」 「自分で調べろバーカ!!」 布津の当然の反応に瑞穂はしょぼんと肩を落とした。 「お前最近俺のこと全然気遣ってねーだろ?!  どんどんずうずうしくなりやがって!」 「ううっ・・・。いや~~、もういいかなと思って」 「何が?!俺の気持ちが?!  そそそ、そんなすぐに冷めるようなやすっぽいものじゃありませんー!」 「うわ、めんどくさ・・・」 「オイーー!!今俺をものすごく傷つけるようなこと言った?!  それが人にモノ頼む態度ですか?!」 なんだかんだ言いながら協力してくれる前提の布津は人がよすぎる。 「で・・・・・・?ヤツは誕生日か何か?」 「ピーンポォーン!」 「・・・腹立つな、コイツ」 布津は借りていた宿題をバシッと瑞穂に投げつけた。 「んなモン、俺がわかるかよ」 「だからさぁ~、それとなく聞いてくるとかさぁ~」 「んなコトしたらバレバレだろ!  バレバレでいいなら自分で聞けよ!」 「バレたら絶対いらないって言うってー!」
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