群青の空に掛かる白

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上級生らも,突然登場した加津佐に「どこから来た」「誰だお前」と口々に声を上げる。 加津佐は取り巻きが「邪魔すんじゃねえ」と振り上げた拳をヒラリとかわし、有明の手を取って素早く階段を駆け下りた。 「うわっ・・・?!」 有明はバランスを崩しながらも腕を引かれるがままに走り出す。 当然、後ろから上級生達は「待てー!」と声を上げて追ってくるが、加津佐はジグザグと逃げて、とうとう彼らを撒いてしまった。 加津佐は逃げ足だけは定評がある。 「ハァッ・・・ハァッ・・・」 校舎裏で息を切らせて肩を上下させる。 数回大きく息を吐いて呼吸を整え、加津佐は隣の有明を見た。 「・・・・・・っゲホッ!!ゴホッ・・・はーッ、はーッ、はーッ・・・ゴホッゴホッゴホッ!!」 「・・・う、うわー体力ねぇ~~」 悪態をつく加津佐を有明が睨みつける。 「恩人にそんな態度はないんじゃないの~?」 「・・・ハァ・・・ハァ・・・  頼んでない・・・・・・」 「おーおー、つれないなぁ」 有明はそれ以上は返事はせず、しばらく休んで呼吸が整うと、すぐにその場を立ち去ろうとした。 「おい待てって。まだアイツらそこらへんウロついてるかもよ?」 「・・・・・・」 「ゆっくりしようぜ~。ほらっ、お隣開いてますヨー」 加津佐は自分が腰掛けた隣をポンポンと叩いたが、有明はそれを無視して向かい側に座った。 加津佐は少しだけ不機嫌そうな有明の顔を、珍しそうにじろじろと見つめる。 その態度が余計に有明をイラ立だせた。 「有明って真面目な奴かと思ってたけど結構ヤバイ奴だったんだねえ」 「!」 ようやく目が合う。 「・・・何が言いたいの?」 「そう睨むなって。嫌味じゃねーよ!  だっていつもは話しかけてくる奴にもニコニコしてて、同い年とは思えないくらい落ち着いてるからさー」 「敵視してくる奴にまで愛想よくする必要はない」 「うおっ!ツンツンしてんねーえ!!  じゃあ俺には?何で俺にはニコニコしてくんないの?」 「・・・・・・」 その言葉にふと有明の顔が真顔になった。 そして視線をそらしてしばらく考え込む。 もう一度目が合うと、加津佐は首をかしげて満面の笑みを見せた。 「・・・・・・悪かった」 「お」 ふと、有明の表情が柔らかくなる。
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