第5章桜からのご褒美

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窓から外を見下ろした ここは4階 落ちたら間違いなく死ぬだろう もう治療に堪えられない… 私の大切なものまで奪うとは この世に神様は居ないのだ… もう心身共に疲れきってしまった… 私は窓から身を乗り出した… その時!! 突如下から突風が吹き上げた とてつもない風だった 私は窓から身を乗り出していたが 病室に引き戻された 「リカやめなさい!」 どこからともなく 低音の声が聞こえた いや聞こえたというより 私の心に呼びかけられた感じだった (誰…?) 「リカ死ぬのはやめなさい」 今度は本当に聞こえた 「あなたは誰ですか…?」 私は声に聞き返した 「リカ お主は優しい子じゃ 以前に何かあるとワシに話しかけてくれたじゃろ」 私が不思議そうな顔をしているとさらに話しを続けた 「ワシじゃよ お主の前に立っておろう」 (私の前に…?) 私の前にって… 私の前には大きな桜しか無い 「そう お主の前に立ってる桜じゃよ 以前お主はワシに何度か話しかけてくれたじゃろ? 思い出したか? その時ワシは答えはせんじゃったが お主の話しを黙って聞いておったんじゃ お主は辛い事を頑張っておるし 老いぼれのワシに花が満開に咲く様にお祈りをしてくれた お主頑張り屋で優しい子じゃよ ワシはな お主に死んで欲しくないんじゃあ お主には頑張っている分 幸せになって欲しいんじゃよ」 私は戸惑った… (桜が喋っている!?) 確かに桜の言ってる事は本当だった… 以前に何度かこの桜に向かって愚痴をこぼしたりしたし 綺麗な満開の桜を見たかったからお祈りもした 「あの… 今すごく辛いんです… 頑張って頑張っているんだけど… 全然進歩してないし… 髪の毛も………」 「そうか ワシはお主の頑張りをいつも見ておる よく頑張っておる! 何も進歩していないとお主は言うが ほんの少しでも進歩はしておるよ 何事も急激に変わる事はないからの… 頑張っておれば いつの日か必ず良い方に進歩しておるはずじゃよ」 「………」 「そうだ お主の頑張りにご褒美をあげよう お主の祈りで今年もまた満開に花を咲かせる事が出来たからの お主に幸せを♪ リカよ ワシの足元まで降りて来てくれんかのぉ」
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