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「シーン君?どうしたの?」
一人の女子が甘ったるい声でシーンの名を呼ぶが、シーンはまるで聞こえて無い。シェシェもシーンと同じく、男子の声など耳にしない。そして二人は、席から立ち上がり私の方にゆっくりと近付いて来る。クラスの人間全員が二人の行動に疑問を抱えつつ、見守っている。
二人は私の目の前まで来ると、歩みを止めた。
「こんにちは、ステラ」
まず最初に口を開いたのはシェシェ。私は頬杖を付いて、二人を見上げる。二人は口は笑ってはいるが、表情はまるで笑っていない。
「久しぶりだね?二人とも……もう二度と会わないと思ってたけど」
「会わないと思ってた?良く言う。俺たちが此処に来る事は予想で来ていた筈だ!!嫌、そう仕向けたのはお前だろう?」
声を低く小さくして話したのはシーン。周りが静まり返っていても、シーンの声は響かない。つまり、それぐらい小さい声で彼は喋っているのだ。
私は肩を上から下へ下げると小さな溜め息を吐く。
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