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シーンは私の制服の襟元を掴み、拳を振り上げる。
――――バシッ
何かをシーンが殴る音は鳴ったが、私に痛みは何処も無い。我に返ってみると、目の前にシェシェがいた。シェシェの掌の中に、シーンの拳がすっぽりと納まっている。
「ッ!!」
シェシェの表情は見えないが、シーンは顔を引き攣らせている。どうやら私は、シェシェに守ってもらった様だ。
「女の子を殴っちゃダメでしょ!?」
「だけど!!」
「シーン!!!」
口答えをしようとするシーンの言葉を遮り、声を張り上げるシェシェ。シェシェがこんなに怒る処なんて初めて見たかもしれない。
そんな事を考えていると、シェシェは何時の間にか私の方を向いていた。
「ステラ……不躾な真似をしてしまってごめんね?でも、私もシーンの気持ち、分かる」
シェシェは私の様子を伺いながら、言葉を続ける。私は黙って彼女の言葉を聞く。
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