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「山賊達がこの村で生活する事を村長が許してしまったからなんだ。これ以上死人が出ないようにするためにはそうするしかないと思ったに違いない。
そのおかげで山賊達自らこの村の決まりを作ってしまった。とにかく自分たちが死なないようにするにはその決まりに従うしかなかった。あの蔵に野菜をしまうのだって山賊の為。
百合はこの時五歳だったから俺が助けていかないと思って畑仕事を頑張ったんだ。山賊なんかの為にな。それでも生活は苦しかった。
だから、俺は百合に内緒でその山賊の仲間になって泥棒を始めた。山賊の仲間になれば働いたお金で百合が少しでも楽になればと思ってさ」
「それで、今にいたるんだね……」
「あぁ。多分、村のみんながその山賊達の事を恨んでる。みんな今の生活じゃあ苦しいんだ。本当に、あの山賊共を殺してやりたいってみんな思ってる筈だ」
「あ?じゃあ柾木。テメェも俺らの事殺したいって思ってるのか?」
「あ……………………」
野太い男の声が柾木の背後からしました。
恐らく山賊の仲間かなんかでしょう。
話の内容を聞かれた柾木は頭が真っ白になったんだと思います。
その声の主は鞘に入っていない、刃が剥き出しにされた刀を担いでいました。
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