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確か少女の名前はテルコだったような。犬は二匹とも雑種で、黒色とクリーム色だった。 黒色の犬は少し大きめで、マツと名乗った。クリーム色の犬はシッポが短めで、ハルと名乗った。 木の下にいた"ダレカ"はテルコにこう話しかけた。 「青い空は何処にあると思う?」 「わからない」 テルコは言う。 すると"ダレカ"は青い風船を少女に渡した。 "ダレカ"は青い風船を沢山持っていた。 赤・黄・緑・青…とてもカラフルで人の心のようだとテルコは思った。 テルコは初めどこかで見たように、青い風船を空のかなたへ飛ばした。 青い風船は青い空にまぎれて、すぐ見えなくなった。 隠れる、とはこういう事なのか。テルコはそう思った。 そしてマツはいつの間にか、木陰でねっころがっていた。 心地好い風が吹いた。 青い風船が少し見えたような気がした。
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