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テルコという漢字はこうだったような… 「照子」 自然が大好きだった。 木も草も、花も川も。動物も好きだった。 そのかわり、苦手なものもあった。 夕方になった。オレンジ色の夕日が西の空へきえてゆく…。 照子は太陽が大好きだった。 毎日何気なく照らしてくれる光…。 ろうそくなんかなくっても、電気なんかなくっても、そのままで明るい空間。 宇宙のどこまでか、地球では考えられない距離のかなたまで、照らしてくれる光。 照子は太陽に憧れていた。 太陽になりたかった。 みんなを照らしたかった。 照子は夜が嫌いだった。暗いところが苦手だった。雨も嫌いだった。映画館もお化け屋敷も何もかも。とにかく暗いところは避けた。寝る時は電気をつけた。 「あの風船は太陽まで届いたかな…?」 二匹の犬に問いかけてみる。 ハルは言った。 「そんなのむりにきまってるさ」マツは言った。 「ソンナノムリニキマッテルサ」 そっか…。無理に決まってるのか…。
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