1/1
前へ
/9ページ
次へ

―--照子は初めて夜をみた。 深くて暗くて獰猛で なぜか少し落ち着く‥。 恐怖はなかった。 ―-誤解していたんだ。 夜が照子を包みこんでくれた。 もう 逃げなくていいのだ。 照子は思った。 (どうして私は逃げていたのだろう‥。 逃げていた意味はなんだろう‥。) あの風船は教えてくれた。 --自由になろう-- --自由な心をもとう-- --誰にも縛られず、 自分の思うままに-- あぁ。逃げなくて、よかったんだ。 逃げ出せなくても、よかったんだ。 マツとハルは何も言わず、だだじっと闇のなかで座っていた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加