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やがて町の広場に出た少年は、何かを探すようにゆっくりと辺りを見渡す。
その時だった。
突然の轟音が町の静寂を破る。
周囲の民家が次々と倒れ、砂ぼこりが辺りを覆う。
「出たな……」
収まった砂ぼこりの中から、轟音の主が姿を現す。
それは、巨大な竜だった。
灰褐色の鱗は重厚な岩石のようであり、その体躯は脚だけでも少年の倍はあるだろう。
巨竜は悠然と辺りを見回し…………少年が、その視界に入る。
巨竜は早速、少年を敵だと認識したようだ。竜の顎が大きく開かれ、咆哮が大気を切り裂く。
「ちっ……」
凄絶なそれに、思わず耳を塞いでしまう。
その機に乗じて、巨竜は少年の身体を切り裂こうと前に踏み出す。
振り下ろされる、巨大な爪。
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