─失策─

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     * * *  魔法学園 職員室。 『……僕だよ』 「なっ!? おまッ……! 何してんだ、今学園だっつーの……!」 『ゴメンよトビ。でも、報告しておこうと思ってね』 〈そりゃ、始業式のクソ忙しい朝に、バレる危険犯して念話使ってまでする事なんだろうな……スフィア〉 『うん、多分ね。地下騒動における敵の目的……知りたくないかい?』 〈……。……分かったのか?〉 『分かったというより、ようやく耳に入ったって感じかな。それでも、遅過ぎた』 〈遅い? どういう事だ〉 『また狙いは、遺跡だったんだよ』 〈は? ……いや、あの規模の地下騒動起こしといて、それはねェんじゃ〉 『リィーン郊外の遺跡……って言えば、分かって貰えるかな』 〈それはねェだろ。あそこはユーラが管理──……チィ。そういう事か……!〉 『ユーラ、トビ、シャオ、……あと、紅目もだね。この大陸に根付いた強力な魔導士達は、皆一様にパレスに向かっていた』 〈鬼の居ぬ間に盗賊行為か……。思慮が浅過ぎたな……〉 『うん。これは、失策の範囲だ。まんまと一杯喰わされた、かな』 〈……しかし、あれからもう三日だぞ。なんで今頃になって……〉 『キミもユーラもシャオ達も、事後処理に追われていたからね。誰も、あんな小さな遺跡には近付かなかったんだ』 〈確かにありゃ公園より小さいくらいだからな……。しかし、何が祀ってあったんだ?〉 『不思議な〝剣〟らしいよ。なんで不思議なのかはユーラも知らないんだってさ。とにかく、分かる事は──』 〈その剣が、盗まれたって事か〉 『……加えて、ここ数日常駐する事になっていた祭司が、殺されていた事だね』 〈……〉 『朝から済まない。けど、耳には入れておきたかったんだ』 〈……ああ〉  ──分かってる。
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