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魔法学園 職員室。
『……僕だよ』
「なっ!? おまッ……! 何してんだ、今学園だっつーの……!」
『ゴメンよトビ。でも、報告しておこうと思ってね』
〈そりゃ、始業式のクソ忙しい朝に、バレる危険犯して念話使ってまでする事なんだろうな……スフィア〉
『うん、多分ね。地下騒動における敵の目的……知りたくないかい?』
〈……。……分かったのか?〉
『分かったというより、ようやく耳に入ったって感じかな。それでも、遅過ぎた』
〈遅い? どういう事だ〉
『また狙いは、遺跡だったんだよ』
〈は? ……いや、あの規模の地下騒動起こしといて、それはねェんじゃ〉
『リィーン郊外の遺跡……って言えば、分かって貰えるかな』
〈それはねェだろ。あそこはユーラが管理──……チィ。そういう事か……!〉
『ユーラ、トビ、シャオ、……あと、紅目もだね。この大陸に根付いた強力な魔導士達は、皆一様にパレスに向かっていた』
〈鬼の居ぬ間に盗賊行為か……。思慮が浅過ぎたな……〉
『うん。これは、失策の範囲だ。まんまと一杯喰わされた、かな』
〈……しかし、あれからもう三日だぞ。なんで今頃になって……〉
『キミもユーラもシャオ達も、事後処理に追われていたからね。誰も、あんな小さな遺跡には近付かなかったんだ』
〈確かにありゃ公園より小さいくらいだからな……。しかし、何が祀ってあったんだ?〉
『不思議な〝剣〟らしいよ。なんで不思議なのかはユーラも知らないんだってさ。とにかく、分かる事は──』
〈その剣が、盗まれたって事か〉
『……加えて、ここ数日常駐する事になっていた祭司が、殺されていた事だね』
〈……〉
『朝から済まない。けど、耳には入れておきたかったんだ』
〈……ああ〉
──分かってる。
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