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「なん、お前誘っとるんかそれ」
始まりは、横山君のこの一言。
たまたま同室になった、ホテルの一室で何気なくかわしていた会話の途中冗談めいたこの台詞。
冗談、それはわかっていた。それでも横山君の視線が、俺を捕らえて離さない。
腕を掴まれているわけでもないのに。
まるで金縛り。…否、自らそう暗示をかけたのかもしれない。
二人の間に沈黙が流れて、
「…横山君こそ、溜まってるんちゃうのん」
俺は挑発に乗ってしまった。
provocation-挑発-(横亮)
「あ、…く」
深く貫かれて仰け反る俺の喉を、ゆるりと横山君の指先が這う。
酸素を求めて開いた俺の唇を塞ぐように口付けられて、閉ざしていた瞼を持ち上げる。
諌めるように見下ろしてくる横山君の視線に釘付け。
「…そんな目ェすんなや」
「よ、こやま…くん」
――――嗚呼、眩暈がしそうだ。
貴方こそ、そんな目で見ないで。
勘違いしてしまいそうになるから。
勿論そこまで自惚れる程滑稽ではないつもりだけど、
いつも見ていたのをこの人は知っているのだろうか。
「っう、…あ、ぁ!」
なんて考えていると不意に抱き起こされて向かい合う体勢にされる。
重力で沈む俺の身体にさらに奥深く横山君自身が突き刺って、上擦った声が洩れた。
「何考えとったん」
「は…ぁ、や…別に、」
「……今は俺んことだけ見とけや。な、亮」
「……ッ、…」
確信犯なら質悪いな、
見透かされていそうな瞳をするこの人に堕ちてしまったのは、いつだったか。
彼に憧れていたのは確かだ。
ただ、今まで抱いていた羨望の感情はいつのまにか何か別のものへと変化を遂げた。
事務所で顔を合わせた時、「よろしく」そう挨拶を交わした時に浮かべられた笑顔。
口元だけ上げて、目は全く笑っていなかったこの人に俺はこの上なく惹かれたんだ。
―――――――――――
ごめんなさいすいませんいっそ殺してくださi)ry
お目汚しすみません・
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