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「助けて……」
彼女の声が唖然としていた俺に再び届く。
ハッと我に帰った俺は彼女の元へと急いだ。
そばまでたどり着いた俺の胸元に彼女が倒れこんでくる。
女子特有のいいにおいと血のにおいが混ざり合い、異様なにおいがした。
「助けて……早くここから逃げて」
「ちょっと、落ち着いて。何があったんだよ」
シリアスな展開ながらも若干にやけた表情の俺。
「追われてるの!! 早く!! 殺される!!」
彼女はものすごい形相で俺に必死に訴えかけてくる。
「追われているって……」
この人も逃げているのか……。
自分と同じ境遇にある彼女に異様な親近感を覚えた俺はビクビクと震える彼女の手の上に自分の手を重ねた。
「わかった。逃げるから安心して。でも、何から逃げれば……」
そこまで言いかけた俺の視界に、1人の少年の姿が映る。
「逃げるって!?」
皮肉混じりのよく響く声。
見た目は俺の年齢とあまり変わらない高校生くらいの身長。
彼女と同じ白髪、その長さはまちまちでぎりぎりミディアムといったところ。
どこかわからない高校のブレザーを羽織っており、その右手からは小さな雷のような電流が音をたてながら走っていた。
一瞬息を呑む俺。
ありもしない光景に自分の目を疑った。
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