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「とりあえず、保健室行こうか」 「……そうだな」 力なく頷き、僕と高志は立ち上がって歩き出す。 体育館から保健室まで歩いている間は誰にも会うことなかった。 授業中だから当たり前か。 「失礼しまーす」 少しのんびりした口調で高志が扉を開く。 乾いた音が静まった廊下に響いた。 「はーい、あら飯塚君」 保健医のおばさんが、そこにはいた。 保健室の中は想像していたような薬品臭い場所ではなく普通の教室となんら変わらないただの一室で、失礼だとわかりつつも僕は意外だ、と思った。 「こんにちわ。今日はどうしたの?」 「こんにちわ。ちょっと友達が恋の相談に」 「なに言ってんだよバカ」 冗談は体型だけにしろ。 「日射病なんで少し休みに来ただけです」 すかさず訂正した。 ニヤニヤ顔の勘違いがまた何か言う前にさっさと休んで考え事したかった。 ……彼女の。 「あらあら。若いんだから照れちゃうのは仕方ないことだけど、相談したいことがあれば何でも言ってね?」 ……恋の相談前提で話さないでくれませんかね。 なんで僕の周りにはこうも人の話を聞かない奴が多いんだ? ため息をつき、僕は空いてるベッドを勝手に借りた。 ふかふかしていた。 保健室のベッドってもっと堅いもんだと思ってたけど。 「じゃ、俺は帰るから。先生、あんまからかわないようにして下さいよ」 「はいはい」 ニッコリと笑顔で保健医は高志を見送った。 仲いいんだな。 「じゃあ、何かあったら遠慮無く言ってね。」 そう言っておばさんは仕事に戻った。 せっかくだし、寝ようか。 布団は暑苦しいからどけて……この枕ヨダレとかついてないよな? ベッドメイキングを終わらせて僕は横になった。 既に気分は回復していてここにいる理由はなかったが、わざわざ体育に戻って体力測定を続けるのもバカらしかった。 それよりも。
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