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僕にとって、彼女は一体なんなんだ? 特に目立たない地味でクロブチメガネで不細工を更に悪くしたような印象しかなかった彼女。 元キャプテンでバスケ部で姿勢が良くて格好よくて髪からはいい匂いが漂ってきて常に堂々とした態度でメガネを外すととんでもなく可愛いくて柔らかそうな耳が綺麗な黒髪から覘いてて真っ黒で小さな瞳がとても印象深くて身長が少し低かったがそれがまた可愛いらしくて。 ……なんか、まるで……。 彼女のことを。 「失礼します」 再び乾いた音が響いた。 僕はその聞き覚えのある声にびくりと体を振るわせる。 聞き覚え、というかついさっき聞いたばかりの……。 「あらあら。いらっしゃーい」 「こんにちわ。先ほどここに男子生徒が運ばれたと思うんですが。」 先ほど運ばれたって……僕? えっ、彼女が僕に何の用があって……? 戸惑い、しなくてもいいのに心臓がバクバクと高鳴ってくる。 「はいこんにちわ。その子なら、そこのベッドで寝てるわよ」 言って、皺の目立つおばさんが僕の寝てる方を指で指す。 空気読めよバカ。 「有難うございます」 彼女は彼女でそれだけ言うと僕のいる方向に歩いてくる。 カツコツと、高い音が近付いてくる。 僕の心臓は未だバクバクと高鳴っている。 カツコツ、バクバク、カツコツ、バクバク。 カツ、と音がすぐ側で止んだ。 僕は顔を上げることが出来ない。 「………………」 「………………」 沈黙が重く響く。 僕は布団の中で丸くなりながら汗がだくだく流れてきて暑くて暑くていい加減ヤバい。 顔が熱くなるのを感じる。 何も考えられない。 思うのは、彼女はどんな気分なんだろうということだけ。 「…………ねぇ」 やがて沈黙に耐えかねたのか、彼女が口を開く。 静かな、凛としていて綺麗な声だった。 僕は精一杯の返事を返す。 「……な、なに?」 まともに彼女と会話したのは、これが初めてかもしれない。
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