いち

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最初に彼女を見たのは、学校の帰り道にある本屋に行くために必ず使う、無駄に舗装された広い自転車道を一人で帰る時だった。 自転車を漕ぐ僕の少し先、ゆっくりとした足取りで彼女は一人で歩いていた。 同じ学年の同じクラスの、一度も話したことがない名前も知らない女の子だった。 彼女は肩まである長い髪を無造作に真っ直ぐおろしていて、学校に散らばるヤンキーみたいな金だの茶だの赤だのと髪を染めているいわゆる「イマドキの」女子高生とはかけ離れた真っ黒な髪をしていた。 正直、地味だった。 僕は自転車を走らせて、名前も知らない地味な女の子の横を通り過ぎる。 少しだけ、何か言われたらどうしようとドキドキしながら。 そしてそれは、いつも通り僕のつまらない杞憂に終わった。
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