出会い系の女

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出会い系で会った女。 いかにもメンヘラ丸出しの、ヤバそうな女だった。 痩せた手首にはお約束の傷がたくさん。 華奢というより、骨ばってる痩せぎす。 そのわりにすごい食べる。最寄りのファミレス。 ここぞとばかりに食い過ぎだ。 しかも割り勘かと思いきや、奢りかよ。 殆どこの女が平らげた分だ。自分が飲んだのはコーヒー一杯。 女はホテル代は払うと言ってきた。 ホテル代が浮くなら、チャラにしてやってもいい。 安ホテルのシャワーを浴び、部屋に戻ると、暗闇から、死人みたいな女の裸が現れた。 あばら骨は浮き上がり、飢餓に苦しむ、東南アジアの子供みたいだった。 可哀想というより、不気味だと思った。 早くやることやって、とっとと終わらせて帰りたい。 早くこの女と別れて、できれば二度と関わりたくない。 本当はすぐにでも、部屋を出たいが、何しろ思わぬ出費がかかっている。 今更後には引けない。 殆ど脂肪のない体。唯一肉のついた箇所に手をやる。女の乳を揉んでるうちに、なんとか使いモノにはなりそうだと思った矢先、女が口を開いた。 『私とやれて、あんた、幸せだね』 地獄の底から響くような、ひび割れた、しゃがれ声に、身震いしてゾッとした。構わず揉み続ける。 女は尚も自画自賛を繰り返す。 私若いし、スタイルだっていいし。ホラ見てよ、腕なんかモデルみたいでしょ。毎日、食べ吐きしてるんだぁ。やつれた顔に走る、病んだ笑み。胃酸で溶けたらしき歯が覗く。 そうなんだ、と苦笑いで返す。 私ね、みんなから嫉妬受けたの。美人だから。私ね、モデルのスカウト受けたことあるし。私ね、こうみえて、芸能人の卵だったのよ。 喋るマネキンの壊れた音声を無視し、なんとか股間に血が集まるよう、集中しようとしたが、無理だった。 途中で、息子は萎えて、すっかりしぼんでしまった。 この女の、自分には知らないはずの日常の情景が、ありありと浮かんでしまう。 部屋は粗大ゴミの山。そこで毎晩リスカ。風呂にもろくに入らず、垢の積もった爪。伸ばしっぱなしで、油まみれの黒髪。 胃液臭い息。しなびた黒乳首。痩せこけて骨盤が浮き出た体には、申し訳程度に生えた陰毛。 私とやれて幸せでしょう? リアルな悪夢だった。 金払え。 突如女が口にした。 金払え。 バックから取り出された、錆びた包丁。 髪の毛が絡みついていた。 金払え。 ありったけの札を投げつけて部屋を出た。 出会い系の女には御注意を…
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