正される記憶

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俺が楽しみながら歩いていると背後に殺気を感じた。 剥き出しの殺意に恐怖すら感じる。 「先行ってて。忘れ物しちゃった」 「あ、一緒に行くよ」 「いいよ。玄関に置いて来ただけだからすぐに追いつく」 「わかった」 先に生かせて後ろを向く。 しかし人がいなかった。 なるほど、曲がり角から見てたのか。 だったらすぐに終わる。 「俺を見張る理由は?」 しかし答えない。 バレてないと思ってるらしい。 「バレバレだっつうの。俺を殺そうとしてるの」 曲がり角に行くと殺気が膨れ上がった。 だから簡単に避けられる。 そのナイフを。 「本当の人殺しは殺気なんて出さない。殺し屋とかって当たり前のように殺すんだぜ?」 「……君が狩野秋水だったね」 軽く微笑んだが焦燥や偽りの感情が見えた。 最近の女は偽物の笑顔にも騙されるんだな。 「爽やかでモテそうな笑顔だな」 「そりゃどうも。場所変えようか」
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