正される記憶

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水鉄砲の要領で口から細くオイルを吐き出し、マッチを投げ、通過させる。 いわゆる火吹き芸だ。 服にほんの少し当てればいい。 当てるな……当たるな。 「うわぁぁぁ!」 炎は服だけに当たり、少し燃やしただけだったが相手は驚いた。 まだ高校生だ、無理もない。 「炎は洗い流す」 「い、意味わかんねえよ」 「世界最悪の放火魔、ジャック・ルーウェンが最後に言った言葉さ。虚勢を張らずに逃げればいい」 「怖くねえよ」 「声が震えてるねぇ。ちなみに次は当てるよ」 「お、覚えてろよ」 泣きそうになりながら逃げたな。 というか残ったの黒澤だけだったんだ。 でもどうしてこんなに火を扱えるんだろう。 やっぱり俺は人殺しだ。 でも、まだ俺は人を殺してない。
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